私たちのミスター・マツラ

私たちのミスター·マツラ

20世紀初頭に故郷の日本を離れ、ワシントン州の田園地帯で暮らした写真家、フランク·マツラこと松浦 栄の人生を描く長編ドキュメンタリー映画です。

侍の家系に生まれ、幼くして両親を亡くしたマツラは、明治初期の東京で育ち、青年期にシアトルへ渡米。その後、ワシントン州オカノガン郡へとたどり着きました。そこで彼は、先住民や入植者たちのコミュニティに深く溶け込みます。そこにはカウボーイ、牧場主、鉱山労働者、果樹農家、商店主、小規模事業者、そして地域を動かすさまざまな人々がいました。オカノガンで過ごした短い年月の間に、マツラはこの地域を記録する代表的な写真家のひとりとなり、そしておそらく、誰よりも人々に愛された存在となりました。

マツラが残した作品は、自らが新たな故郷とした土地を単に記録したものにとどまりません。彼は、人里離れたこの地に暮らす多様な人々を、深いつながりを感じさせるまなざしで写しました。遊び心にもあふれ、時に型破りなセルフポートレートも数多く制作しています。また、地域の人々と一緒にユニークな写真を撮ることも多く、衣装や男女の役割を自由に楽しむ作品も数多くあります。

現在、4,000点を超えるマツラの写真が残されています。その作品の多くは、20世紀初頭の写真と聞いてイメージされる、かしこまった肖像写真とは大きく異なります。マツラの写真はそれまで広く語られてきた『アメリカ西部』のイメージに新たな視点を加え、見えてこなかった姿を浮かび上がらせています。

彼の作品は、人々が写真の中でどのように自分を表現し、どのような新たな一面を見せているのか、いわゆる「ボーダーランド」と呼ばれる過渡期の土地で生きるとはどういうことか、そこでのジェンダーの役割、さらにはコミュニティとは何か、といったさまざまな問いを浮かび上がらせます。

この地域の人々と深く結びつくことで、マツラは自らが目にした世界を独自の視点で鮮やかに描き直し、人々に自分自身を新たな角度から見つめる機会を与えました。それから一世紀以上を経た今も、この地域の人々は彼の作品を誇りに思い、そこに強いつながりを感じています。

「私たちのミスター·マツラ」は、これまで大衆文化の中で語られてきたものとは異なる「フロンティア(開拓時代の西部)」の姿を映し出し、地域に溶け込み、人々をつないだひとりの移民芸術家の類まれな足跡を描き出します。

 

『Our Mr. Matsura』の大部分は、ワシントン州中北部のコルビル居留地連合部族(Confederated Tribes of the Colville Reservation)を構成する12の部族――チェラン、ネズ・パース族のチーフ・ジョセフ・バンド、コルビル、エンティアット、レイクス、メソウ、モーゼス・コロンビア、ネスペレム、オカノガン、パルース、サン・ポイル、ウェナッチ――の伝統的な居住地で撮影されました。

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Center for Independent Documentaryとの提携により製作